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業界トップランナーのルーツと共に映像を楽しむ者に情報を共有する理由

Adobe市井義彦さん

クリエイターインタビュー第18弾!
今回は映像制作者であり、Adobe Community Evangelist(アドビ コミュニティ エバンジェリスト)としてYouTubeや書籍など、Adobe Premiere Proに関する情報を発信する市井義彦さん。

Adobe市井義彦さん

7年連続AdobeMAXに登壇、2025年で10周年『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』主催し、YouTubeチャンネル『プレミアノート』の登録者数1.95万人。さらに3冊の書籍出版もされています。映像制作者としてもテレビ番組を中心にディレクターや撮影、編集の全ての工程をこなせるマルチ映像クリエイターです。

Adobe Premiere Proについて話す市井さんをご存じの方も多いかと思いますが、今回は映像に興味を持ったきっかけや映像の仕事についてなど、Adobe以外の話題もお伺いしました。他にも、なぜ情報を発信するのか、『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』を作った経緯や想いについても迫っています。

Adobe市井義彦さん

プロフィール

市井 義彦(いちいよしひこ)

株式会社Command C 代表
Adobe Community Evangelist|Adobe Premiere Pro ユーザーグループ 主催

広島出身。専門学校を入学を機に大阪に移住し、現在も在住。幼い頃からテレビが大好きだったという。新聞配達をしてご自身で貯めたお金で買ったビデオカメラから映像ライフが始まった。その後、2000年に大阪にある制作会社に入社。約15年のキャリアを持って独立し、情報発信や人のつながりを意識した活動を始めた。

映像制作する一方で、2015年から『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』を始める。2021〜23年に3冊の書籍を出版。YouTubeやX(旧Twitter)などで情報を発信している。

Adobe Premiere Pro ユーザーグループ

YouTube プレミアノート

■Webサイト・SNS


Adobe市井義彦さん

「Adobeの人」だけじゃない仕事の裏側

‐現在のお仕事について教えてください。

Adobeさんに関するイベントへの登壇やYouTube出演、Adobe Premiere Pro(以下、Premiere Pro)に関する書籍の出版などを行っています。そのため「Adobeの人」というイメージを持っている人も多いですが、ディレクター業や撮影、編集など、テレビ番組の制作に関わる仕事も多く手掛けています。番組と番組の間に放送する5〜10分の情報番組や、現在も続くドキュメンタリー番組のディレクター経験もあります。

Premiere Pro関連の話をすることが多いので「編集者」のイメージが強いのですが、実際にはディレクターや撮影の仕事もやっているんですよ。テレビ以外ではYouTubeチャンネルのアドバイザーなどもしたことがありましたね。

僕の周りに凄腕の編集者がたくさんいて、ディレクターとしてポスプロ(撮影後に編集する作業のこと)に入って一緒に編集作業に入ることもあります。ビデオグラファーとしての仕事をしつつ、表舞台に立って情報発信するなど様々な仕事をやっているんですよね。多くの方から仕事のご依頼をいただけて、とても感謝しています。

Adobe市井義彦さん

‐Adobe社に関わるお仕事はどのようにご依頼されるのですか?

Adobeさんから直接ご依頼いただくこともあれば、イベントの登壇や書籍などは企業さんや団体さんからご依頼をいただくことがありますね。『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』の運営やYouTubeなどの発信、セミナー講師などの活動を通じて多くの人に知ってもらい、信頼を築いていき、仕事の幅が広がっていると感じています。

堀江
堀江

現在、映像編集をするときにPremiere Proを使われることが多いのですか?

Adobe市井義彦さん
市井さん

そうですね。仕事の内容によってFinal Cut ProやDaVinci Resolveも使いますが、Premiere Proで編集することがほとんどですね。

映像の始まりは中学生の頃に購入した家庭用ビデオカメラ

-市井さんが映像撮影やテレビ業界に興味を持ったきっかけを教えてください。

10代の頃からラジオやCDラジカセなど機械類が好きで、よくパンフレットを集めて見ていたんですよね。その中でビデオカメラのパンレットを見ていて興味を持ち、中学生の頃に新聞配達をして貯めたお金でパナソニックのビデオカメラを買ったことが映像を始めたきっかけです。

初めて買ったカメラなので今でもはっきりと覚えていますね。当時主流だったVHS‐Cという小型テープで録画する、ディスプレイなしのファインダーだけが付いているビデオカメラでした。そのカメラで学園祭の様子や友達のライブ演奏を撮影して、編集した映像を当人にプレゼントした事がありましたね。あとは僕が生まれ育った場所が田舎のほうで遊ぶものがあまりなかったというのもあり、好きでテレビをよく見ていましたね。それらがきっかけで映像制作やテレビ業界に憧れを持ちました。

Adobe市井義彦さん

‐学生時代から映像編集もされていたんですね。

そうですね。当時は十分な編集方法やツールが揃っていなかったので、映像データをダビングしてワンカットずつつないでいき、音声はMDから取得して映像に乗せるという編集をしていました。現在では編集ソフトを使ってノンリニア編集や1フレームずつ操作できるので夢のようですよね。

‐その後、どのように映像業界に入られたのでしょうか?

高校卒業後、大阪に出てきて専門学校に2年間通い、2000年にテレビ番組の企画や映像制作を行っている会社に就職しました。当時就職したときは社長と僕の2人だけでした。基本的に撮影から編集までを自社で行うという会社のスタイルだったので、社長はディレクターのような役割で、僕はAD(アシスタントディレクター)として現場での撮影や編集をサポートしていました

Adobe市井義彦さん

当時、Final Cut Proが日本で発売され始めたばかりでしたが、社長が「いずれFinal Cut Proで十分な編集ができるようになり、業界でも主流になるから我々は今後それで編集していくから」と言われたので、Final Cut Proを会社で使うようになりました。僕は専門学校でPremiere Proを学んでいたのですが、Final Cut Proはあまり操作したことがなかったので、事務所に1日泊まり込んでカットやディゾルブの仕方、書き出し方など編集方法を覚えたという思い出がありますね。

それから数年後、Final Cut Proのクオリティも向上し、自社で撮影したものを編集まで行い完パケをすることが増えていきました。当時はポスプロ(ポストプロダクション)へ外注して完パケ(完全パッケージ|映像や音声など素材が全て揃い、編集も終了している完成品のこと)することが主流で、Final Cut Proで完パケをやっている制作会社はほとんどなかったので業界内で目立つ存在でした。

Adobe市井義彦さん

独立、そしてAdobeへつながる起点

‐2014年に独立し、現在は「株式会社Command C」という会社を設立された市井さん。独立をしようと思ったきっかけを教えてください。

社長と僕だけだったのが少しずつ新しいスタッフを雇うようになり、僕がその新人の教育をするようになりました。ただ、教育した人が独立したり、異業種へ転職したりと育てても巣立っていく人が多かったんですよ。仕事を通じて自分のやりたいことができて楽しかったのですが、もっと映像に関するスキルやキャリアを集中して築いていきたいなという気持ちが湧いて、挑戦してみようと思い切って約15年勤めた会社を退職して独立しました。

Adobe市井義彦さん

‐独立後、どのような活動をされていたのでしょうか?

人とのつながりを増やすことや、新しいスキルを得るためにDaVinci Resolve(以下、DaVinci)のユーザーグループに入会し、東京で行れていたDaVinciの講習会に参加しました。その結果、スキルが身につき、DaVinciで有名な方とのご縁もできました。

当時、時代の流れとしてPremiere Proが主流になるだろうと感じたため、映像業界の人たちと知識を共有できる場所がほしいと思っていました。そこで、自分でユーザーグループを作ろうと決心し、2015年3月に『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』をFacebookで作ったことが現在の活動の原点になっています。その後、ご縁がつながりAdobe社でユーザーミーティングをさせていただきました。それを機にさらに多くの人とのご縁ができ、現在の仕事へとつながっていきました。

Adobe市井義彦さん

共に楽しみ、成長し合える環境を

‐なぜ、『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』を作ったのでしょうか?

僕自身が映像に関わることが好きだし楽しいなと感じています。この楽しさを映像業界に関わっていきたい人と共有したいなと思って作ったのがきっかけですね。僕が学生時代や業界に入りたての20代の頃は、映像制作は簡単ではなかったんです。でも技術革新が進んでいき、段々と環境が整っていったことで映像制作が身近になってきましたよね。それなら、映像制作に関わっていきたい人たちが一緒に情報を共有して高め合ったほうがより楽しく映像制作ができると思うんですよね。

Adobe市井義彦さん

‐この『Adobe Premiere Pro ユーザーグループ』を今後どのようにしていきたいですか?

ユーザーグループを急激に大きく発展させたいとは考えておらず、それより今のまま継続して続けていくことが大事だと考えています。今後も技術革新は進み、Premiere Proも進化していくと思います。その進化に合わせて映像制作者もその進化に対応し続ける必要があると思います。

ベテランから初学者までが自由に情報を共有し、映像制作を楽しみ続けることができる場所が必要だと思います。そのため、このユーザーグループは今後も継続して続けていきたいです。 僕ひとりだけではなく、みんなで一緒に盛り上がったほうが楽しいですしね。

堀江
堀江

みんなで映像制作を楽しみたいという気持ちが強いんですね。

Adobe市井義彦さん
市井さん

そうですね。映像制作の楽しさにハマって今の僕があるので、同じように映像制作を楽しむ人が増えたらいいなと思っています。

Adobe市井義彦さん

‐Premiere Proの本を3冊出版していますね。

そうですね。当初、出版社さんからお声がけいただいたときに迷ったのですが、他のAdobe Community Evangelistと同じように自分も出版してみようと思って本を書きました。映像制作はずっとやってきたのですが、本を書くことは今までやったことがなかったので大変でしたね。編集担当者さんが信頼してくれて、2冊目以降は僕の好きなように書かせてもらえてありがたかったですね。

堀江
堀江

3冊目『初心者からちゃんとしたプロになる Premiere Pro基礎入門』では、動画つくーる店長 瀧野恵太さんも掲載協力していますね。

Adobe市井義彦さん
市井さん

瀧野さんにはたくさんの素材提供のご協力いただいて、本当に助かりました。ありがとうございました。

市井義彦さんの出版書籍

2021/6/18発売

2022/8/26発売

2023/12/1発売

Adobe市井義彦さん

‐Premiere Proのテキストスタイルプリセットも販売されていますね。

僕が動画編集をやり始めたときにテキストスタイルを使って便利だなと感じて、いろんなテキストスタイルを作ったんです。いろんなテキストスタイルを必要としている人が多くいるので、みんなに楽しんでもらいたいと思いプリセットデータで販売しています。プリセットデータにするとユーザー各々でカスタムできるので、みんなの編集技術の幅を広げるきっかけになれば嬉しいですね。

情報を見極める力をつけよう!

‐技術革新や情報が得やすくなったことで、近年映像業界に携わる人が増えましたね。

そうですね。家庭の事情により在宅で仕事をしたい人や副業をしたい人にとって、自分で時間をコントロールして仕事ができる手段として映像制作はすごくおすすめだと思います。

ただ、いろんな情報やスクールがあるので全てを鵜呑みにするのではなく、自分に必要な情報なのかを見極めて取捨選択をする必要はあります。最終的には自分が選んだ責任になってしまいますので、納得して選んでほしいですね。

Adobe Premiere Pro ユーザーグループ

Adobe市井義彦さん

YouTube プレミアノート

Adobe市井義彦さん
Adobe市井義彦さん

この記事を書いた人

堀江晃一

1983年生まれ。大阪府東大阪市出身。
ユニークな情熱を届けるインタビュアー。人それぞれが持っている魅力的な個性や想い、ストーリーを世の中に広げようと活動中。クリエイティブ業界やクリエイターのインタビュー多数。

働き方についての発信もしており、パナソニックセンター大阪さまにてフリーランス・パラレルキャリア講座の講師として2度登壇。他、ワークショップや交流会などを実施。

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