動画を作る人にとって、自分の 演出 があるというのは夢と憧れだと思います。
動画を始めたら、エモい動画、カッコいいシネマティックな映像を作りたいと思います。しかし自分がそう思っていても伝わっていない事は多々あるかと思います。自分だけがかっこいいと思って作っていたり、もしくはとてもエモいと思っていた映像が誰も共感してくれていなかったり。
動画を作るには、観客にどう思って欲しいのか?どう感じて欲しいのか?といったように観客に伝える方向付けをする作業です。それを演出と言います。演出は動画の方向性を与え調和をはかる役割を持ちます。エモい動画、カッコいいシネマティックな映像を作りたいと思ったのならきちんと設計する必要があります。動画に携わるものとして観客に伝わるようにきちんと演出していきたいですね。
以前投稿した絵コンテの書き方の記事で、絵コンテを描く以前に演出の考え方がわからないというご意見を多数いただきました。私もどのように考えればいいかを模索しながら動画を作っていますが、ここでは、先人達の知恵に肖ってそのやり方、考え方の一例をざっとまとめて見ることにしました。不定期になりますが、追記していく予定ですので是非チェックしてみてください。
先程述べた様に私もまだまだ修行の身です。皆様と一緒に学んでいければと思いますので、よろしくお願いいたします。
この記事で知れること
この記事では、演出の大枠の説明から、具体的な技法の解説や演出の意図までを知ることができます。
カメラワークの基本、フレーミングと、カット割り、そして技法の解説まで、この記事を通してなんとなくやっていたことを明確にできればと思っています。
記事内では書ききれない内容については、おすすめの書籍などご紹介してますので、そちらを参考にしていただけると、より詳しく学べますよ!
それでは、どうぞ!

作りたい動画がある時は、自分の頭の中に作りたい動画のイメージが浮かび上がっているので、どんな動画を作ろうかと準備をするのはとても楽しい時間だったりすると思います。
しかし、動画を作ることを依頼されたり、仲間同士で動画を作ることになった場合は自分の思いをなかなか形にしづらかったり相手の思いを動画にするのはとても骨のある作業だと思うかもしれません。
動画を作るには、観客にどう思って欲しいのか?どう感じて欲しいのか?といったように観客に伝える方向付けをする作業が必要です。『より面白く、美しく、怖く、悲しく、わかりやすく、かっこよく』伝える方法を考えなくてはいけません。
その為には、画面の枠フレームの中のどこに被写体を配置するか?大きさはどう撮るのか?編集の時のつながりのタイミング、これらを細かく決定していかなければいけません。
動画ではこれを演出と言います。演出は動画の方向性を与え調和をはかる役割を持ちます。雰囲気を作るものであり、動画全体の出来不出来を分けるものといえます。
誰もがスマホだけで簡単に動画が出来てしまうからこそ、きちんと『どんな動画を作る』のか?どんなふうに伝えたいのかを考えることが大切です。好き嫌いだけで絵を決めるのではなく、目的意識を持って手段を講じること。これができれば最新のスマホ(iPhone13Pro)だけでも素晴らしい動画を作れます。
つまり、TikTokだって立派な演出をしているのです。15秒、1分、3分の尺の中で面白く見せようと努力をすることはまさに演出です。そして動画を作っていけばいくほど何が足りないか?より良い動画を作るのに何が必要となってくるかがわかるはずです。さぁこの記事を読んで、あなたも動画を演出したと言える人間になりましょう!
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実際に演出を実践してみよう!絵コンテで動画演出の設計図を描く!
演出 の役割
演出は動画の根幹の部分です。全てに関わります。人物がいるのなら話す内容や何処で話すのか?ということや、時間は何時にするのか?天気はどうなのか?など内容にかかわることから、撮影時のカメラワークや、編集時のカットとカットの繋ぎをどう繋ぐのか?音楽は入れるのか?どんな曲なのか?などを決めます。
つまり演出とは映画でいうところの監督がやってる事であり、テレビ番組でいうところのディレクターです。演出とは、物事を表現するときに(機械などの動作の装飾的な動きも含め)それを効果的に見せることなので、演出家(監督、ディレクター)は動画の完成イメージを誰よりも把握していて、実現できるようにしなければいけません。
動画だけでは収まらない 演出 の世界 動画以外での演出とは
演出は、テレビ業界や昨今のクリエイター業界に合わせてディレクションと言われたりすることも多いです。少人数のスタッフで全体をまとめて方向づけすることが多くあるのでそう呼ばれます。
あえて演出だけの役割を他の監督業の役割と分けて呼ぶ場合は、全体の統括ではなくより専門的な判断を求められるときに分けて呼ばれることがあります。
安心できる 演出
映画やドラマなど、役者の演技を決める演出があるように、撮影、編集にも演出はあります。
演出はあまりにも当たり前すぎて、初心者や未経験者は疎かにしがちだったりします。また動画制作に慣れてくると、作業がルーティーンになりがちで演出が疎かになりがちだったりもします。型にはめて方向性を決めるのだから、それでいい場合もあります。例えば、サザエさんやちびまる子ちゃん、ドラえもんやクレヨンしんちゃんに毎回違う、観客が考え込まなければいけない要素があると、それは目的を果たせていないと言えます。期待を裏切らないようにすること(期待を裏切られることを期待されているのなら期待を裏切るようにすること)を毎週安定して観客にみせることも演出の仕事です。再生数の多いYouTubeチャンネルなどは、その辺りをきちんと意識して作られていると思います。
動画の演出が変われば全く違う動画になります。ですから演出の役割を担う演出家が変われば、全てが変わってしまいます。
iPhone13Proのシネマティックモードは 演出 技法の一つです
意味を伝えることを演出という話をしましたが、新しく販売されたiPhone13Pro に搭載されている、被写界深度やフォーカスポイントを調整することができるシネマティックモードがあります。
これも動画においては”見ている”、”見ていない”の意味を伝える技法であり演出です。
このシネマティックモードをより活用するためにも、より多くの演出技法を身につけることをお勧めします。
演出というととてもハードルを高く感じてしまうかも知れません。演出とは何を伝えたいのか?という伝える方向づけなので何だって演出することができます。もちろんカメラはスマホのものしかなくても演出はできます。是非、お手持ちのスマホで試してみてください。
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iPhoneだけでも実践できる基礎的な撮影技法をご紹介します。
演出 の種類
演出家という仕事があります。舞台や映像作品でその作品の芸術性・エンターテインメント性が高まるよう、
- 役者への演技指導
- 照明
- 美術(大道具・小道具)
- 音響効果
などの指示・決定を担当します。
テレビドラマや映画などの映像作品の場合は監督と言われる業務です。監督やディレクターが演出家を兼ねているケースが多いため、撮影のカメラワーク、最終的な仕上げにつながる編集にも効果的に作品の芸術性・エンターテインメント性を高めるようにプランニングすることを演出と呼ぶこともあります。
この記事では動画における制作・撮影・編集における各分野の演出について詳しく述べていきます。
企画段階で 演出 していること
脚本を書き始める前から演出の仕事は始まっています。内容に対して表現の議論を行います。脚本は脚本家の仕事なので、演出の仕事かというと厳密には違います。
しかし、脚本を手がける監督も少なくなく、最近では1人で全て手がけるビデオグラファーの方もいますので脚本の段階でも演出の仕事をしているという意識は必要です。
- キャスティング
- ロケハン
- 小道具・衣装合わせ
- 撮影
- 編集
など決定しなければいけない事は多岐にわたりますが、これら全て企画の段階で決められていた方が演出はしやすいです。
演出の設計図である絵コンテは以下のことを踏まえた上でコンテを切り、演出していきます。
- キャスティングはどういう役に、どういう俳優を割り当てるか?どういうキャラクター性格ににしていくかを決定します。これもまた演出の仕事でもありますので監督、ディレクターは考えをも持っていなければいけません。とはいえ大きな企画になると、スポンサーやプロデューサーによって既に決定されていることが多いので、演出家は与えられた配役でどう演技させるのかを念頭に置く必要があります。
- ロケハンは、ロケーションハンティングのことで撮影を行う場所を決定します。空間が持つ演出効果はありますので、映像の中でどの様に、その場所を活かすのか?作りたい映像にあった場所なのだろうか?を決定しなければいけません。
- 小道具・衣装合わせ。きちんとどのシーンで何が使われているのかを把握していなければ繋がった映像を作るのは難しくなります。なので専門のスタッフが就くことが多いですが、映像の映えにもっとも影響される部分でもあるので監督にとってとても重要な仕事です。。
- 撮影ではカメラワークやカメラ位置、カメラが捕らえる画角管理する。カメラ・ポジション(撮影場所)や画角、とカメラの動作、役者の演技を決定します。絵コンテの段階で決まっていることではありますが、現場を意識していなければ、繋がった映像を撮影することはできません。撮られていないものはどうしようもないので、絵コンテの段階でいかに設計してあるかが問われます。
- 編集は総仕上げに当たる部分です。映像と映像の繋ぎ方を決定し、音楽や効果音などをつけます。どのように繋ぐかで伝わり方が大きく変わってくるので、絵コンテの段階でほぼ全て決定されていないといけませんが、編集段階で修正を加えることは多いです。
このように専門家が分業でやることでより良い作品が生み出されるわけですが、
役者への演技指導における 演出
抽象的な指示から具体的な指示
動画における演技指導は具体的な方が良いと考えられています。編集段階におけるカットのつなぎや、カメラワークとの連携、照明の当たり方など細かく調整しなければならない項目が多数あるからです。
しかし事細かく具体的に指示をした演技が面白いとはいえないことも多いです。なぜならば演者や被写体の個性を封じてしまう事になるからです。演者というのはドラマや映画などの物語を演じることだけではありません。バラエティ番組などの出演者にも言えます。観客は動画の中の人を見ます。その人が自然に振る舞えていなかったら違和感を持つでしょう。嘘だと感じるかもしれないし一度、違和感や疑わしく感じてしまった観客に再び動画の中に没入してもらうのは至難の業です。
舞台装置としての 演出
動画における舞台装置とは、ロケーションの現場を指します。
誰と、何が配置されていて、何処で行われているか?を選び取ります。その舞台が、物語にどの様に影響されて物語ろうとしているのかを選び取ります。
脚本の段階で決まることであり、スケジュールの都合で現場の監督(ディレクター)が変更を示すこともありますが、その時も、時間や場所が変更されることで、物語にどのような影響が起きるかを加味しなければいけません。
雨で悲しい場面を表現しようと決定したものを、晴わたる青い空の日に撮るわけには行きません。しかし逆にそういった表現が物語に深みを持たせることもあります。その判断をしなければいけないのでとても大切な仕事となります。
絵コンテで行う映像の 演出
動画の演出には絵コンテを描くという行程があります。絵コンテが映像の演出の全てと言っても過言ではないでしょう。絵コンテは動画の設計図のようなもので、1つのカット(画面)がどのようなものかを説明しています。
ですので画面という言葉から画コンテ と書くこともあります。
一つのカット(画面)で演出する(伝える)ことは「被写体はどのようなサイズ、構図になるか」「被写体はどのような動きをするのか」「カメラのどの部分から画面に入ったり出たりするのか」「カメラ自体はどのような動きをするのか、固定(フィックス)なのか」「どのくらいの時間映しているのか(尺)」などを伝えます。
絵コンテを上から順番に読めば、映像の流れ(時間の流れ)が把握できるようになっています。
つまり絵コンテが書けなければ動画の演出をしているとは言えません。
絵コンテで行われる 演出
- 被写体のサイズ :被写体はどのようなサイズ、構図になるか
- 被写体の動作 :被写体はどのような動きをするのか
- INとOUT :カメラのどの部分から画面に入ったり出たりするのか
- カメラの動作 :カメラ自体はどのような動きをするのか、固定(フィックス)なのか
- ひと続きの時間 :どのくらいの時間映しているのか(尺)
- カットの順序 :複数に渡るカットの順番、何を最後に印象付けるか
- 繋がりの緩急 :それぞれのカットに映るものを印象付けれているか?
- 視線の流れ :フレーム内の視線の動きで、気持ちの方向決めをする

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用語の解説はこちらの記事に詳しく掲載しています。
カメラワークの基本
撮影段階の演出といいえばフレーミングになります。それは、被写体のサイズやカメラの動きといった瞬間の瞬間の画面に映るものを決める作業でもあります。
その瞬間のうちに何が写り込んで観客にどう思わせるのか?が大事になります。ここでは、被写体のサイズ感によって与える観客の印象をまとめてみたいと思います。
構図とレイアウト
同じ意味合いの言葉に感じられるかもしれませんがこの二つは違います。構図は画面全体の構成示します。レイアウトは、画面内のものの配置を示します。三分割法や一点透視図法を組み合わせて決めていくことが多いです。
- 構図 :画面全体の構成「フレーミング」「カメラアングル(アイレベル)」が含まれる。
- レイアウト :画面内における物体の配置を指す。物体をどこに(where)、どんな風に(how)配置するかを決める。
三分割法

横それぞれを三分割し、その交点や線にメインとなる被写体を配置する構図です。
動画は基本的に編集することを前提としています。観客に没入感を持たせるために、視点をどこに集中させ、次のカットでどこに移動するかを決める際に役立ちます。
例えば三分割法で右にレイアウトしていたものの被写体が左を向いていた時に次のカットでは左側にレイアウトさせるなど、どこからどこへ移動するかを決めるガイドになります。
一点透視図法

遠近法の一種で消失点を1つ持つ構図。奥行き方向の線は全て消失点に収束するように放射状になる構図です。
この構図は、平面の画面に奥行を持たせることができます。一点に視点を集中させる事で動画に没入感を持たせることができます。


撮影で 演出 技法
- 被写体のサイズ :被写体はどのようなサイズ、構図になるか
- 被写体の動作 :被写体はどのような動きをするのか
- INとOUT :カメラのどの部分から画面に入ったり出たりするのか
- カメラの動作 :カメラ自体はどのような動きをするのか、固定(フィックス)なのか
印刷物の視点の動きは左上から右上へ水平に移動し、次にそのまま右上から左下に斜めに移動した後、左下から右下へ水平に移動してものを認識します。
動画も概ね同じなのですが、印刷物と大きく違う点は、動画の場合は時間の経過で、観客が画面を見ている間に次の画面に変化してしまうということです。
つまり視点が動いている最中に画面が切り替わってしまうこともあるので、印刷物のような視点の動きにはなりません。
動画の場合、ひと続きの映像につき視点は一点しか見ていない事がほとんどと言っていいでしょう。
では、動画における観客の視点はどこを見てしまうのかというと、基本的には動いている(様に見える)ものと言っていいです。
人物が写っている場合は画面のこちら(観客)側を見ている大きな顔(概ねその顔の視線)が優先され、カットが切り替わる時は切り替わる前の視点の位置を起点に、次の対象を探し出します。この流れのスムースさが観客の没入感を誘います。
つまり、撮影での演出は観客の視点の動きと、カットを繋いだ時の流れを意識して構図をつくるということになります。

カメラワークを決める上での参考書籍
以下の書籍は、カメラワークを考える上でとても参考になる本です。特に「マスターショット100」は、動画の内容で伝えるべき目的をタイトルに、画面とカメラ位置と演者の動きを示す位置表示、そしてその実例として作品のタイトルが書かれています。大変参考になるので読んでみられることをお勧めします。
その他撮影で役立つ技法のヒント
動画を 演出 する上でのカメラマンの心構え
以下は、これまで多くのカメラマンが言ってきたものを中心に個人的に聞いたもの学ばせていただいたものをまとめてみました。
その多くは、黒澤明監督作品の『羅生門』『用心棒』『影武者』のカメラマン宮川一夫氏の言葉です。詳しくはキネマ旬報社発行の『宮川一夫の世界』に掲載されています。こちらの本もお勧めします。
- 観客が見たがっているものを撮ろう
- 構図と配光とカメラワークに集中しよう
- コントラストを意識する。モノクロでも認識しやすい画作りをする
- 暗い場面でもノーマルな露出でとる。編集で暗くする。
- フレームの外にも存在するものがある、 と感じさせる画を創る。観客は目線の先に誰かがいると想像する。視線を意識したレイアウトをする
- パン、移動、ズームなども、 被写体の動きをキッカケにしてはじめるという意識をもつこと
- ズームをとめる場合も、一瞬戻してとめると静止感が出たりする
- いい画でなくてもお芝居をきちんと見せるサイズもある
- カメラマンは引き出しが一杯詰まっている方がいい
以上の心構えを意識して動画を撮影することで、より高いクオリティを目指せるのではないかと思います。
フレーミングとカット割
編集での 演出 構成と繋がりを考える。
- 全体的にどのような印象になるか?
- 印象的な繋がりを作る
視覚印象の緩急でスピード感、視覚印象の強弱で画像の質感、印象印象の緩急で時間の長さで映像の意味性が発生します。この緩急で観客に物語を感得させます。全く違うものを錯覚でひとつづきに見えるカットを作るのが編集での動画演出の仕事です。
代表的な編集による 演出 技法
映画の歴史は編集の歴史と言っても過言ではありません。その中でも映画を複数の映像をつなげることによって、後ろの映像は前の映像の影響を受けて新しい意味が現れることを示したモンタージュ論があります。
モンタージュ論とクレショフ効果
1925年に公開された旧ソビエトのプロパガンダ映画『戦艦ポチョムキン』では、モンタージュ理論を用いた演出技法が使われました。
映画は複数の連続した映像(カット)を繋ぎ合わせて意味を作っていきます。モンタージュ理論とはこの繋ぎ合わせの時に後ろのカットが前のカットの影響を受けて別の新しい意味が現れることを示しています。
具体的な例を挙げると、「お皿に入ってスープの次に男性の顔」、「棺に入った遺体の次に男性の顔」、「ソファーに横たわる女性の次に男性の顔」それぞれ繋がれた映像をみた観客は、男性の違った印象を持ちました。飢えであったり、悲観であったり、欲望であったり、前の映像と後ろの映像の組み合わせによって異なる印象を持つ傾向にあります。
- お皿に入ってスープ→男性の顔=飢え
- 棺に入った遺体→男性の顔=悲観
- ソファーに横たわる女性=欲望
いくつかの実験によって証明され、モンタージュ理論による効果は「クレショフ効果」と名付けられました。
繋がりの違いによる印象の変化
- スタンダートカット
- マッチカット
- ジャンプカット
- モンタージュ
- クロスカッティング
意図したエフェクトを加えよう!
編集のノウハウを伝えるブログやYouTube動画などで『かっこよく、見栄えよくする』というのを見かけます。かっこよく、見栄えよくというのはどういうことなのか?感覚的な言葉で伝えるとわかりにくいかと思いますが、それは視覚印象の緩急と強弱のことを言っています。緩急と強弱の振り幅が広いほど、その変化から見栄えが良くなったように思えますし、かっこよく感じるのでしょう。
しかし、いくら特殊効果のエフェクトを多用しても、前後の映像が何かを意識した上で加えないとただただ派手な映像なだけで、印象的な動画に仕上がることはありません。
前後の繋がりをより意識すれば、エフェクトがより効果的にダイナミズムな映像を生み出します。
技法の解説 演出 の意図

PAN
PANは、時間空間演技の連続性を損なわずに映し出す特性があります。
ストーリー上、意味のある場合に限定して使うといいです
- 広い領域を途切れなく映して、場面の広大さを伝える。
- 被写体の移動を追いかけて、スピード感をつける
- 2人の口論を交互に追いかけ、緊迫感を出す

TILTE
TILTEは、時間空間演技の連続性を損なわずに映し出す特性があります。
ストーリー上、意味のある必然的な場合に限定して使うといいです。
意味のない必然性がない場合はカメラの動きに観客の注意を引かれ、ストーリから気を逸されてしまうので避けた方がいいでしょう。
演出として盛り込むよりもカメラが被写体をフォローする時に使われることが多いです。
- 人物のいる場所を示します。到着または立ち去ることを伝えやすい。

DOLLY
カメラの平行移動
- 距客観的に見せることができる

カメラの前後移動
- 観客自身が近づいたり離れたりしているように感じる

動画 演出 のまとめ
絵コンテの書き方が分かっても、演出方法がわからなければそもそも絵コンテは書けません。それはもうひたすら動画を大量に見まくってインプットするしかありません。
しかしそれでも、体系化された演出技法というものは必ずありますので、本などで調べてみるといいでしょう。
この記事の筆者は時折Twitterで動画演出のTweetをしています。#動画学 という形でモーメントにまとめておりますので、ご興味がある方はよんでみてください。
動画学
かっこいいだけで出来てしまった動画は 作ったとは言えないでしょう! 再現性があって初めて 動画を作ったと言えます。───動画演出の知識をまとめた、TarCoon☆CarToonの動画学です。このモーメントが、動画の学術的資料となることを目指して日々ツイートします。ハッシュタグは (#動画学 )をチェック!!
動画演出の知識をまとめた、TarCoon☆CarToonの動画学です。
— TarCoon☆CarToon(たぁくんカートゥーン) (@TKMS_all4A) March 2, 2020
動画を作る上で考えて欲しいことを纏めています。
毎日更新していくのでぜひ読んでください!
⚡️「動画学」(@TKMS_all4Aさんによる: https://t.co/xEwtNa6YvM)
*この記事も随時更新していきますので、楽しみにしていてください!
演出 は考え方を示す仕事
動画の演出をするというのは、世界を築くということです。絵コンテ千本切りを果たした富野由悠季監督という方がおられます。富野監督はガンダムの監督で有名ですが、日本のテレビアニメの黎明期から鉄腕アトムの演出を手がけていた方です。
そんな監督の展覧会『富野由悠季の世界』展が2019年6月から2022年1月までの間全国で巡回されてました。
展覧会の中では絵コンテが展示され演出することを丁寧に説明されています。展示の冒頭で富野監督は観客へメッセージを寄せていました。以下引用させていただきます。
「演出」という仕事は、感覚的な仕事であると同時に、たいへん観念的な作業で、「概念(考え方)を示すことができる仕事」なのです。
富野由悠季 (展覧会『富野由悠季の世界』によせて)より
物語をどうものがたるのか?観客にどう思って欲しいのか?どう感じて欲しいのか?といったように観客に伝える仕事をされてきた方だからこそ、演出という仕事の素晴らしさが伝わる言葉だと思います。
みなさんも、映像表現に向き合って素晴らしい作品を作ってください。私も頑張ります。