「YouTubeは若者や子どもが見るもの」という概念は過去の話。
今は未就学児からシニアまで、幅広い年齢層の方が情報の入手方法としてYouTubeを利用しています。
ここ数年、YouTubeを利用した動画の市場は右肩上がりで、しばらく衰える気配はありません。
芸能人や大手企業も時代の流れに乗り遅れまいとYouTubeに参戦してきていて、しだいに競争が激しくなりつつあります。
興味深いこととして、YouTubeでは「有名だから」といって必ずしも成功するとは限らないということ。
数多くの有名芸能人や一流企業がYouTubeチャンネルを開設していますが、いまいち伸び悩んでいたり、売上につなげることができずに苦戦している様子も見受けられます。
特に企業がYouTubeを始める場合、身近にYouTubeを上手く活用している事例が少なく、何から始めて、どう運用していけばよいのか分からないのが正直なところでしょう。
企業のYouTubeチャンネルは個人のユーチューバーと違って、動画の再生回数を稼ぐことが目的ではなく、視聴者を販売している商品やサービスに誘導しないといけません。
つまり、YouTubeをキッカケに自社のWEBサイトやSNSへ導いたり、LINEやメルマガの登録へつなげるのが主な目的になります。
そこで、YouTubeを使って売上を伸ばしているしている企業チャンネルを5つ紹介しますので、これからYouTubeを始めようと考えている企業やチャンネルを起ち上げて間もない企業は参考にしてみてください。
なお、選出した基準はチャンネル登録者数や総再生回数ではなく、YouTubeの活用方法として筆者が参考になるものを選びました。
トータルブランディングが完璧な「北欧、暮らしの道具店」
チャンネル登録者数 59.3万人(2024年6月時点)
- 女性が理想とするライフスタイル情報を発信
- 総合的なブランディングやユーザー動線が完璧
- 新規~長年の濃いファンまで満足するコンテンツを提供
- ちゃんと予算と時間を使って丁寧に制作されている
株式会社クラシコムさんが運営するチャンネルで、YouTubeだけでなくWEBサイトやInstagram、Twitter、メルマガ、LINE、Spotifyと総合的なブランディングが完璧。
多くの女性が理想とするライフスタイル情報を発信しており、YouTubeや各SNSを入り口としてWEBサイト訪問からメルマガ登録、そしてECサイトで商品購入という一連の導線がしっかりとしています。
YouTubeで人気のある「モーニングルーティン」「ルームツアー」「VLOG」はきっちり抑えつつ、ドラマ動画やラジオ形式の音声メディアも展開しているので、検索や関連動画から訪れた新しい視聴者から長年の濃いファンまで満足するコンテンツを提供しています。
投稿されている動画を見ても、ちゃんと予算と時間を使って丁寧に制作されているのが一目瞭然。制作スタッフの顔や声が認識できるのも親近感が出てファンを獲得しやすいと思います。
男性目線からでも憧れるライフスタイルを見せてくれていますし、「北欧、暮らしの道具店」が好きな女性と一緒なら幸せな時間が過ごせそうな気がしちゃいます。
これからYouTubeに参入しようという企業にとって、いきなり「北欧、暮らしの道具店」のようなチャンネル運営はハードルが高いでしょうが、トータルブランディングのお手本としては最適なのでチェックしておくことをオススメします。
風通しの良い社風が伝わってくる「塗り替え道場」
チャンネル登録者数 22.6万人(2024年6月時点)
- 本業をしながらのYouTube毎日更新はスゴイ!
- スタッフが楽しんで制作している
- 会社の代表が率先してやっている
- サムネイルのキャッチコピーが見事
- どんな仕事をしてくれるのかがわかる
- 純粋にエンタメ動画として楽しい
愛知、三重、岐阜に11店舗展開中の外壁塗装専門店「株式会社 七色 」が運営するチャンネル。本業の塗装業務をしながらYouTube動画を毎日更新するバイタリティはスゴイの一言!
ドッキリ企画など、スタッフが楽しみながらYouTubeをやっているのが伝わってきますし、出演しているスタッフのキャラ立ちもしっかりしていてファン化しやすくなっています。
投稿される動画はエンタメ・バラエティー・おふざけ色が強いものが多いですが、YouTube概要欄に掲載されているURLから塗り替え道場のWEBサイトを訪れると、しっかりしていてギャップにノックアウト、信頼性の高さがうかがえます。
家の外壁塗装依頼なんて一生のうち何回もないので、依頼する側は慎重になりがちだと思います。塗替え道場のようにスタッフの人となりや作業内容、施工事例、料金、お客様の声などをオープンにしてくれると安心できますね。
外壁塗装の価格を調べるつもりでYouTube検索したら塗り替え道場にたどり着いて、気がついたら動画を毎日視聴している方も多いのではないでしょうか。
士業系ユーチューバーの代表格「税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士」
チャンネル登録者数 38.8万人(2024年6月時点)
- 税金や経営関係の情報を一般の人でもわかりやすく解説
- 本業以外に、セミナー登壇や書籍の出版、オンラインサロン運営と仕事の幅を広げている
- 代表を務める会計事務所の看板としての役割
- 税理士YouTuberとしてファンと信頼性を獲得している
大阪にある「ヒロ総合会計事務所」の代表、ヒロさんのYouTubeチャンネルで、税金関係など、お金にまつわる専門的な情報を一般人にもわかりやすく解説してくれることで人気を集めています。
税金以外にも補助金や助成金、ふるさと納税や副業に関することも発信してくれるので、経営者だけでなくサラリーマンにとっても役立つ情報が満載。
税理士YouTuberとしての地位を確立したことによって、本業以外にセミナー登壇、書籍の出版、そしてオンラインサロン運営とビジネスの幅をどんどん広げていってます。
YouTubeの人気に比例して、代表を務める会計事務所の信頼度が上がるのは言うまでもありません。
今後、独立や起業を考えている方やお金で損をしたくない人はぜひチェックしてみてください。
テレビで人気のコンテンツをスタッフ一丸で実践「片付けトントン」
チャンネル登録者数 23.6万人(2024年6月時点)
- テレビでも人気のあるコンテンツを実践
- スタッフが一丸となっている様子を感じる
- 掃除や整理整頓の勉強になる
- ゴミ屋敷のリアリティが半端ない
株式会社「中西」が運営するYouTubeチャンネルで、ゴミ屋敷の片付けや汚部屋の清掃を動画にしています。会社が提供するサービス名とYouTubeのチャンネル名を「片付けトントン」で統一しており、名古屋近辺で不用品の回収や遺品整理といえば「片付けトントン」といえるくらいブランディングに成功しています。
テレビ番組でも人気のあるコンテンツを提供することで高い再生回数をコンスタントに叩き出しており、チャンネル登録者も順調に増やしていってます。
こういった不用品回収やお部屋の清掃を依頼するときは価格が不明瞭だったり、怪しい業者であるケースも多いです。片付けトントンのように「どんな人が来て、どんなふうに作業してくれるのか」を依頼者が動画で事前に把握できると信頼を獲得しやすくなります。
チラシやホームページだけだと伝わりにくい部分をYouTube動画でしっかり補っていて、価格相場の調査や業者の選定が目的で訪問した人を、そのままチャンネルのファンにしている印象です。
テレビ番組のように過度な演出がない分、ゴミ屋敷清掃のリアリティがヤバいので一度チェックしてみてください。家の中がキレイになっていく様子は見ていて気持ちよくなります。
流行りのAMSRを取り入れた「足つぼ Yutaka」
チャンネル登録者数 19.8万人(2024年6月時点)
- 足つぼマッサージの動画
- 「マッサージ音」を楽しむAMSR動画
- サムネイルがシンプルで統一感ある
- 海外の視聴者も取り込んでいる
- 個人事業のYouTubeチャンネルとしては大成功
リフレクソロジスト(足つぼマッサージ師)であるYutakaさんが運営するチャンネル。
投稿される動画は、マッサージに今流行しているAMSRを上手く掛け合わせた構成になっています。
「ASMR(エーエスエムアール)」とは英語の「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で、人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良い、脳がゾワゾワするといった反応・感覚のこと。
ただ淡々と足をマッサージしている様子と、その音のみが聞こえるだけの動画ですが、見ていると心地よくて何故か引き込まれてしまいます。
個人で、しかも本業のマッサージをしながらYouTubeチャンネルをここまで育てあげるのは立派。
一見シンプルな構成の動画ばかりですが、カメラ位置や音声の収録、照明のあて方など、視聴者を惹きつけるための工夫をしています。
ミニマリストのYutakaさんらしく、サムネイルがとてもシンプルで統一感アリアリ。
動画の内容もありますが、サムネイル以外にも字幕や動画の説明欄、タグなどを英語で表記することで海外の視聴者を上手に取り込んでいると思われます。
ニッチなジャンルと思いきや、市場を地球規模にすることで高い再生回数を稼ぎ続けることに成功。YouTubeを入り口としてファンを増やし、本業であるマッサージの集客やオリジナルグッズの販売へとつなげています。
個人事業の集客やブランディングが目的でYouTubeをやっている方は一度チェックしてみてください。
まとめ
以上、YouTubeで集客に成功している企業を紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
中小企業やスモールビジネスでもYouTubeを活用することで、多額の広告宣伝費をかけることなく、集客やブランディングができることがおわかりいただけたと思います。
成功している企業YouTubeチャンネルで共通するのは制作に関わっている人、出演者や裏方が本業の仕事をやりながらも楽しんでやっているということ。
社長や上司の命令で、無理やりYouTubeをやらされているようでは続けるのが難しいと思われます。
実際、YouTubeを上手く活用しているチャンネルは企業の代表者や、ある程度の立場にある人物が率先し、先頭に立って運営しています。
これまで企業がホームページやSNSのアカウントを持つのがあたりまえになったように、今後はYouTubeチャンネルを持つのもあたりまえになる時代が来るのではないでしょうか。