動画を編集するときに文字テロップを入れることが多いと思いますが
テロップが読みにくい
テロップの修正依頼が多い
テロップを入れてみたけど何かしっくりこない
といったようにテロップのデザインで困ったりしていませんか?
特に動画編集の初心者だと、文字のフォントや色を何となく決めてしまって結果的に見にくいテロップ、視聴者に伝わらない動画になってしまうこともあるのではないでしょうか。
私は動画制作歴19年の経験を元にして、これまで300人以上の方々に動画の作り方を指導してきましたが、いただく質問の中で多いのがテロップのデザインに関すること。
見やすいテロップにするには一定のルールがあり、そのルールさえ押さえておけばデザインの知識がなくても大丈夫!
そこで今回は動画編集の初心者でも簡単にテロップを見やすくする方法をご紹介したいと思います。
背景とテロップ文字に差を付けて視認性を高くする
読みにくいテロップの例としてテロップと背景の映像が同系色であるパターンがあります。
例えば上の画像のように明るい背景に白いテロップを挿入すると少し読みにくいですよね。
暗い背景に暗いテロップを入れると同じ理由で読みにくくなります。
背景と似ている色の文字でも視認性は下がってしまいます。
色の選択方法として、背景が明るければテロップは暗めの色、背景が暗ければテロップは明るい色にすれば一気に読みやすくなります。
しかし背景が変わるたびにテロップの色をコロコロ変えていては編集の手間もかかりますし、なんだか落ち着きのない動画になって視聴者に違和感を与えてしまいます。
そんな場合は背景の影響を受けずにテロップを読みやすくする方法として以下の3つの方法を試してみましょう。
- テロップに境界線をつける
- テロップにドロップシャドウをつける
- テロップの背後にカラーマット(テロップベース)をつける
例えば以下のように明るめの背景に白いテロップだと、どうしても読みにくくなってしまいます。
境界線(エッジ・ストローク)をつける
テロップの文字に境界線を付けると見やすくなります。編集ソフトやアプリによって名称は異なりますが「枠線」「ストローク」「エッジ」「ふちどり線」も同じ意味と考えてもらって構いません。
ただし境界線の色は背景色や文字の色と明暗差がある色を選ぶようにしましょう。
ドロップシャドウをつける
テロップにドロップシャドウ(影)を付けることでも文字を見やすくなります。境界線(エッジ・ストローク)だとポップな印象を与えるので、動画のジャンルによっては合わないこともあります。スタイリッシュ、もしくはクールな印象を与えたければドロップシャドウを使って文字を見やすくするのをオススメします。
背景にカラーマットをつける
背景の映像がゴチャゴチャしていたら、境界線やドロップシャドウを付けてもテロップ文字が読み難いこともあります。
そういう場合はテロップ文字の背後にカラーマット(テロップベース)を入れると文字が見やすくなります。動画編集者の間では通称「座布団」と呼ばれることもあります。
こちらも境界線と同じく、背景の動画やテロップ文字の色と明暗差がある色を選ぶようにしましょう。
文字の色はシンプルに!
テロップの色も視聴者に与える情報の大きな要素。文字の色を必要以上に多く使いすぎてしまうと、まとまりが無くなって視聴者に伝わりにくい動画になってしまいます。複数の色を上手く使い分けるにはデザインや配色の知識が必要不可欠。よほどの理由がない限りヘタに色数を増やすのではなく、4色以内で収めておくとスッキリと見やすいテロップになります。
その4色のうち、2色は白・黒・グレーといった無彩色にし、残りは強調したい箇所に使うアクセントカラー(赤・オレンジ・黄色など)と動画と関係性のあるテーマカラーにするのがオススメです。
可読性の高いフォントを選択する
文字のフォントにも読みやすいフォントと読みにくいフォントがあります。
動画の内容に沿ったフォントを選ぶ必要がありますが、初心者でフォントの選別が苦手な方は可読性の高いゴシック系のフォントを使用するのがおすすめ。特に字体が太いフォントだと視聴者は認識しやすくなります。
人気のあるユーチューバーの動画をチェックしてみてください。ほとんどが太いゴシック系のフォントを使用しているはずです。
動画のテロップにおすすめなフリーフォントを挙げておくので、まだ持っていない方はパソコンにインストールしておきましょう。
動画のジャンルや再生デバイスを考えて適切な文字の大きさにする
文字の大きさによって視聴者に与える印象は大きく変わります。例えばエンタメ系やバラエティー系のテロップは大きめで、企業のイメージビデオは比較的小さめといったようにジャンルによって適切な文字の大きさというものがあります。
動画のジャンルに合った文字サイズにしないと視聴者に違和感を与えてしまい「伝わらない動画」「離脱されてしまう動画」になってしまうことに。
また、視聴者がどうやって動画を視聴するのかでも適切な文字のサイズは変わってきます。同じ動画、同じ文字の大きさでもテレビ・パソコン・タブレット・スマホと、再生するものによっては文字の見え方は変化するもの。
パソコンで編集している時は適切だと思った文字サイズでも、スマホで見ると文字が小さくて読み難いといったこともよくあります。そんな失敗を避けるためには視聴者が実際に視聴するもので文字のサイズを確認するようにしましょう。
テロップの文字数に注意!
紙媒体で文字を読むのと違って動画の場合、動画の視聴者が認識できる文字の量は1秒間に4文字程度です。つまり20文字のテロップだと、最低でも5秒間は表示し続けないと視聴者は読み終えることができないということ。
テロップが読み終わっていないのに消えると視聴者にストレスを与えることになってしまい、動画の視聴を止めてしまう原因になります。
話し言葉をそのまま文字に起こすと、どうしても長いテロップになってしまうので、意味の通じる範囲内で可能な限り短く調整するようにしましょう。
おすすめの参考書籍 ~伝わる!動画テロップのつくり方~
今まで見なかったなかなか珍しい本だと思います。この本は動画制作における重要な要素である「テロップ」に特化した、実践的かつ包括的なガイド本です。著者のナカドウガさん番組制作会社で約20年間、専門の映像編集のエディターとして多数の映像を手掛けた経験豊富なプロフェッショナルであり、その知識と技術を惜しみなく紹介してくださっています。内容は初心者から上級者までを対象としており、基本的な知識から専門的な技術、テロップが視聴者に与える印象の理解まで、幅広いトピックを網羅しています。
一方で、専門家にとってはやや浅く感じられる部分もあり、すでに経験がある読者には物足りなさを感じるかもしれません。しかし、テロップ作成のセンスと技術の奥深さを解き明かし、映像作品の質を左右する重要な要素としての理解を深めるための内容となっていますので、じっくりとテロップ一つ一つと向き合わせてくれる良いきっかけを作ってくださります。動画編集の初心者はもちろん、経験豊かなプロフェッショナルにとっても、新たな知見を得られる貴重な一冊と言えるでしょう。この本は、テロップを通じて映像の世界に新たな価値をもたらし、視聴者に与える印象を意図的にデザインするための究極のガイドブックです。
番組制作会社で映像エディターとして約20年活躍し、今は映像制作の講師も務めるクリエイター・ナカドウガによる初の著書。「テロップ」に絞った映像制作本は、本書が初となります。「ずっと使えるテロップの教科書」を目指して、ナカドウガが魂を込めて執筆。「そもそもテロップとは?」といった基礎的な考え方や、文字の大きさやレイアウト、フォントなどの項目を絞った解説も。アレンジやモーションの付け方、作例集なども掲載し、テロップに困った時に開きたい一冊に仕上がりました。
伝わる!動画テロップのつくり方/ ナカドウガ
著者について
ナカドウガ・・・長野達行。大阪の番組制作会社で約20年間、専門の映像編集のエディターとして従事。現在はONESEL株式会社のモーションデザイナーとして活躍。制作会社時代は、ATP上方番組大賞やギャラクシー賞に選抜される作品作りに数多く参加。 映像制作支援事業にも注力し、クリエイター向けの映像制作講師のほか、自身のSNS でも長年の制作実績から得た知識を広く発信している。
【テロップ本予約受付中】
— ナカドウガ / テロップ書籍発売中 (@douga_nakagawa) January 8, 2024
はじめてテロップを作る。
そんな時に知っておきたい内容をまとめた
テロップデザインについての本です。
ポスプロに就職する人、これから動画編集をはじめる人に、ぜひ読んでほしい本になっています。https://t.co/pMgm8i7bUd
- その他、動画の本を読みたければこちらの記事もどうぞ
断片的に寄せ集めただけでしかない情報をきちんと体系化されたとした知識にするためにも、他の人がまとめた知識に触れるということも大事ですよね。
映像制作を学び続けていきたい人にオススメする本や、世間を賑わせている話題の本、私が読んできたオススメの 動画の本 を感想も交えてご紹介しています。
まとめ
読みやすいテロップとは視聴者が違和感やストレスを感じることなく動画を視聴できるということ。デザインに固執しすぎてテロップが映像とマッチしなかったり、浮いた存在になってしまうと動画全体のクオリティーを下げてしまうことになります。
テロップはあくまで動画の内容を視聴者にわかりやすく伝える補助的な役割です。色や装飾をアレコレこねくり回しすぎると視聴者にとってジャマな存在でしかなくなるので視聴者の目線になってテロップを作るようにしましょう!