クリエイターインタビュー第8弾!
ドラマ仕立てのPR動画が得意な映像企画・製作や映画監督を行う中川信雄さん。俳優やモデルのキャスティング、企画・撮影・編集とすべての製作工程を一括で担う。
映画の自主制作も行っており、多くの映画祭に出品して数々の賞を受賞。大型シネマコンプレックスであるなんばパークスシネマにて上映会を実施、コロナ禍で仕事が激減した俳優のためにクラウドファンディングにチャレンジするなど精力的に活動中。
今後はドラマ仕立てのPR動画の仕事を増やしたいと思う一方で、自主製作の映画を東京の映画館での上映や海外への進出も願う。
プロフィール
中川信雄(なかがわのぶお)
大阪にお住まいの映像企画・製作を行うフリーランス動画クリエイター
「DoteyakiStudio(どてやきスタジオ)」という屋号で活動中
週末は主に結婚式やイベントの撮影。平日は企業PVや商品紹介の撮影、インタビュー取材の撮影などを行う。
ストーリーのあるドラマ仕立ての映像が得意。複数の作品でNHKミニミニ映像大賞の受賞。芸能事務所ビックワンウエストさんとのコラボでショートムービーを製作。
映画の自主制作にも力を入れており、多くの映画祭に出品して数々の受賞歴を持つ。英語字幕をつけて海外への進出を志してる。
映画も仕事もキャスティングから企画・撮影・編集とすべてを行うことができるマルチプレイヤー。
第14回NHKミニミニ映像大賞「MAGI☆COP」
油絵から人のストーリーを描く映像の世界へ飛び込む
−まずはじめに、中川さんが動画に興味を持ったきっかけを教えてください。
小学生からアニメは好きだったんですが、大学生になるまで動画に触れることはなかったです。中学生の頃にはイラストを描いたり、高校生の頃には美術部に入部して油絵で風景画を描いてました。
高校では風景画ばかり描いていて、人物画を描きたくても描けなかったんです。それで進路について考えた時に、大学で人物を描きたいと思いました。
親が映画が好きだったのと、人物を取り上げたドラマを観ると「この人はどういう人で、何の仕事してるの?」とか人物の内面やストーリーに興味が湧いたので、絵よりも映像の方が良いのではないかと思って、大学では映像学科へ進学します。
それから様々なジャンルの映画をたくさん観ました。そうすると、ラッセ・ハルストレム監督やサム・エスメイル監督など、好きな監督ができます。だんだん映画が好きになって憧れるようになりました。映画が好きになったことで、今制作しているドラマ仕立てのPR動画に繋がっていると思います。
人のつながりを大切にすることで生まれ続ける撮影の仕事
−大学を卒業された後、どのような仕事をされていたんですか?
大学卒業後はアルバイトをしながら、いくつか友だちが主催していた小さな劇団の記録撮影をしてました。年々、その劇団も少なくなっていって、撮影の仕事は続けたいけど今後どうしようと悩んでいたんです。
そんな時にブライダル撮影の会社が求人募集をしていて、契約社員として入社しました。今まで撮影しかやってこなかったんですが、その会社で編集作業も経験します。
入社して2〜3年後に独立。在籍していたブライダル撮影の会社はフリーランスカメラマンとして登録して、他でも撮影の仕事を受注してました。
独立した当初の仕事は撮影のみでした。その4年後にディレクションや編集もするようになって、本格的に動画クリエイターとして活動し始めます。
今ではブライダル撮影やライブ配信のカメラマン、イベント撮影、企業PRや商品紹介、インタビューの撮影など様々な仕事をやっています。
コロナ禍にはブライダル撮影やイベント撮影がなくなってしまって大変だったんですが、知り合いの会社さんからお声がけいただいて、ライブ配信のカメラマンや商品紹介の動画作成といった新しい仕事をすることができました。
平時も撮影会社さんから仕事を紹介いただいくことや、イベントで知り合った人から仕事につながることが多いです。撮影現場やイベントで知り合った人とは、一期一会だと思って大切にしています。
機材のお困りごとに親身に対応!撮影機材から続くお付き合い
−中川さんが最初に動画つくーるショールームに足を運んでいただいた理由は?
新しいカメラの購入を検討している時に、Panasonic「AG-DVX200」の実機を見てみたくて探していたんですけど、実機を置いているお店がなかったんです。
その実機を置いているお店を探している中で、動画つくーるショールームを知りました。「AG-DVX200をショールームにお持ちではないでしょうか」と、メールで動画つくーるさんに連絡したのが最初の接点です。
動画つくーるさんにも置いてなかったんですが、「AG-DVX200」をお持ちのレンタル機材屋さんを紹介してくれて、店長の瀧野さんに同行して、そのレンタル機材屋さんへ。実機に触ってみて気に入ったので、AG-DVX200を購入しました。
一緒にレンタル機材屋さんに同行してくれて、親身になって対応してくださったことで好感が持てました。それから機材の話をさせてもらったり、時間のある時にはイベントにも参加したりしています。
ショールーム周辺を散策して撮影する北浜動画ファクトリーやクラウドファンディングに関するイベント、音響メーカーZOOMさんのお話を聞くイベントなど、いろんなイベントに参加しましたね。
メーカーさんと繋がれたり、新しい機材に触れられたりするイベントに参加したいので、そのようなイベントが開催されることを期待しています。
毎週、金曜日に配信されているYouTubeも拝見していて、瀧野さんのお話にはとても共感できて楽しいです。
カメラやレンズ、ロケハンも!撮影前の準備は怠らない
−今日お持ちいただいているカメラは普段よくお使いのものですか?
そうですね。Panasonic「AU-EVA1」というカメラです。もう4〜5年は使ってます。とても使いやすいですね。
映像撮影に特化したカメラで、画面での設定が確認しやすくて便利です。どういう設定で撮るのかをすぐ確認できるので、撮影現場でトラブルが起こることが少ないんですよね。
今まで他社メーカーさんのカメラも使ったことがありますが、Panasonicさんのカメラは比較的、故障が少ないですね。
−レンズはどのようなものをよく使っているんですか?
40mmの単焦点レンズをよく使ってますね。インタビュー撮影や映画撮影でも使っていました。これと20mmの単焦点レンズと105mmの単焦点レンズを常備していて、基本的にこの3本を使っています。
企業PVの撮影をした時にクライアントさんから「うちの工場こんなにきれいやったんや!」って喜んでいただました。僕がピント合わせたり画角を作ったりするんですが、レンズのおかげでクライアントさんが喜んでいただるのでとても嬉しいですね。
−機材の選択も大事される中川さん。そんな中川さんが仕事をする上で大事にされていることは?
撮影前の準備はしっかりやっています。動画つくーる店長の瀧野さんもYouTubeで言われてましたが「撮影は準備が90%」ですね。
特にロケ地の手配やロケハンは入念に行っています。現場に行ってから不備があると撮影ができなくなり大変です。
皆さんがよく観ている商業映画であれば制作スタッフもたくさんいて、しっかりとした準備や設備の整った撮影用のスタジオを借りられると思います。でも、僕たちは制作スタッフが少なくて、時間や予算が限られていたので、コスプレ用やテレビ番組用のスタジオを使って予算や労力を抑えてました。
今はスペースを貸し借りできるシェアサービスがあって便利で良いですね。許可取りや申請などの手続きが省かれて、安価で撮影に使える場所がたくさんあるので、映画撮影や仕事でよく利用しています。
8mmフィルムから始めた映画がオンライン配信へ発展
−中川さんは仕事とは別に自主映画を制作されていますね。
そうですね。仕事とのバランスを考えて自主映画を作っています。大学生の時から作っていて、当時は映画研究部に入って8mmフィルムで自主映画を作っていました。
−《うつせみ》《解離するヴァルネラビリティ》と、今でも映画を自主制作されてますが、どういう経緯で撮影されたんでしょうか。
《うつせみ》は、本音が脱皮するというコンセプトで作った映画です。心理的な本音が脱皮して、僕の隣にもうひとりの僕が居る、みたいな映像になっています。
《うつせみ》予告編
脚本家が専門学校に通っていた時に書いた作品で、映画のイベントで知り合った時に映画化にすると話されていたんです。以前から《うつせみ》のような映像を作りたいと思っていたし、おもしろい内容だったので「撮影やります!」と手を上げて製作に参加しました。
こういうふうに撮影や編集をすると、本音が飛び出したみたいな映像になるな…と思いながら試行錯誤しながら作っていて、思った通りの映像が作れたので自信になりましたね。
−いつごろ撮影されていたんですか?
《うつせみ》を撮影していたのは2019年です。製作後にコロナの流行してしまって、残念なことに上映を予定してた映画祭や上映会といったイベントがたくさん中止になりました。出品費も返ってこないイベントもあったのでつらかったですね。
でも、時間が経つにつれてオンライン上映会が増えてきて、「うつせみ」が上映できるようになりました。上映会で知り合って仲良くなった人もたくさんいて、映画をさらに広めるきっかけになる出会いもあって良かったです。
−《うつせみ》はU-NEXTやビデオマーケットなどオンライン配信もされていますよね。
「広島こわい映画祭」という映画祭に「うつせみ」を出品して入選をいただきました。その時に「仲介をするので配信サイトに載せませんか?」と配給会社さんからお声がけいただいて、有名なオンライン配信サイトから映画を観てもらえるきっかけが増えて嬉しいですね。
※「うつせみ」U-NEXT配信はこちらからご覧になれます。
新しい映画製作〜クラファン・シネコン上映会にチャレンジ
−《うつせみ》の後に《解離するヴァルネラビリティ》という映画も作られていますね。
《うつせみ》を制作した後に、また新しい映画を作ってみたいと思ったんです。《うつせみ》を作った脚本家に「新しい映画を作りたい」と話したら、その脚本家も賛同してくれたので一緒に《解離するヴァルネラビリティ》を作りました。
《解離するヴァルネラビリティ》予告編
《解離するヴァルネラビリティ》は最初に僕が原案を書いて、脚本家がチェック。その後、キャラクター設定の変更や肉付けなど脚本を作って撮影するまでに1年ほどかかったと思います。
ちなみに絵コンテは、動画つくーるさんが配布されていたテンプレートを使って作りました。
仕事であればクライアントさんに見せるのでしっかりとした絵コンテを作るんですが、今回は自主制作なのでラフのような感じで絵コンテは作っています。ただ、制作スタッフが撮影イメージが分かるように、ロケハンをした時に撮った写真を貼って工夫しています。
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-《解離するヴァルネラビリティ》ではクラウドファンディングにもチャレンジされていますよね?
そうですね。家族や動画つくーるさんのみなさん、たくさんの方に応援していただき、本当にありがたかったです。おかげさまで、なんばパークスさんを借りて試写会ができました。コロナで仕事がなくて困っていた役者さんたちの支援もできたので良かったです。
なんばパークスさんという大きなシネコンで上映会を行ったことで、スタッフや役者さんの意識が高まったように思います。以前も作品の上映会をやったことはあるんですが、このような意識の高まりはなかったので、この上映会は大きな価値がありましたね。
映画を東京・海外へ!映画もドラマ仕立てのPR動画も発展させる
-映画について、次の展望はどのようにお考えですか?
東京の映画館上映を掛けた無料オンライン配信に《解離するヴァルネラビリティ》を出品しています。7月~9月の間にYouTubeで配信されて、全70作品くらいから投票が多かった作品のみが東京の映画館で上映されるんです。ぜひ東京の映画館でも上映させたいので、みなさんよろしくお願いいたします。
(※詳しくは以下でご紹介します。)
それと《解離するヴァルネラビリティ》は英語字幕をつけて、海外の映画祭への出品も行っています。映画を募集してる海外の映画祭を紹介しているWEBサイトがあって、出品料を支払えれば誰でも出品できるんです。英語のWEBサイトなので、悪戦苦闘しながら出品しています(笑)
-今後の楽しみがたくさんありますね。お仕事としてはどんなことをしたいとお考えですか?
ドラマ仕立てのPR動画をもっとやっていきたいですね。自主映画に出ていただいた役者さんと仲良くなって、仕事でも一緒に仕事をすることがあります。予算や作りたい映像に合わせて役者さんの用意や契約のアドバイスなどもしますので、企業さんには気軽にご相談いただきたいですね。
中川信雄さんからの大事なお知らせ
《解離するヴァルネラビリティ》の上映情報
- 上映期間:2022年7月23日(土)21時~7月29日(金)
- 上映場所:YouTubeチャンネル「合同上映会ビヨンド7」
※下記のリンクよりご覧になれます。 - 配信期間中、Twitterにて投票を実施。
※「#ビヨンド7投票」+「#作品名」をつけて投稿お願いします。
投票が多かった作品は東京の映画館で上映されます。
ぜひ応援よろしくお願いいたします!
▼上映期間はコチラから映画をご覧になれます▼
YouTubeチャンネル「合同上映会ビヨンド7」